政府が進める主要な通商交渉が本格化している。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉は、22~25日にシンガポールで閣僚会合を開くことが固まった。オーストラリアとの経済連携協定(EPA)交渉は大詰めを迎え、欧州連合(EU)とのEPA交渉でも焦点のワインなどの関税をめぐる駆け引きが激化している。日本が通商政策の「牽引(けんいん)役」とするTPPの閣僚会合の成否が、オーストラリアやEUとの交渉の鍵を握る。
TPP交渉は、17~21日に開く方向の首席交渉官会合で「関税」「知的財産」など難航分野の論点を改めて整理。その後の閣僚会合で難航分野に政治判断を示す「実質合意」を目指す。
ただ、交渉を主導する日米の溝は深い。昨年12月の閣僚会合では、全品目の関税撤廃を求める米国に対し、日本は重要農産品の関税死守を主張した。このため日米合意は先送りされ、昨年内の交渉妥結も断念した。