フィリピンは2013年の外国からの直接投資(FDI)が前年比20%増の38億6000万ドル(約3926億円)に達した。フィリピン中央銀行(BSP)が予測した21億ドルを大きく上回る。今年も同国への投資は高成長を追い風にさらに高まるとみられる。しかし、近隣諸国に比べると、依然として低水準にとどまっている。現地紙マニラ・タイムズなどが報じた。
BSPによると、FDIのうち、外資系の現地企業などの事業拡大投資が25億ドルで、12年の3億9100万ドルから約6倍に増加した。主に製造業、不動産業、上下水道事業などに投資が集まっているという。
BSPは世界経済が回復の兆しを見せ始めていることに加え、フィリピンは13年の実質国内総生産(GDP)成長率が7.2%と高成長を続けていることから、今後も同国への投資が加速するとみている。
また、今年のFDIは当初予測で26億ドルとしていたが、上方修正する方針だ。
ただ、フィリピンは東南アジア諸国連合(ASEAN)で経済成長率がトップにもかかわらず、FDIが域内のライバル国と比べて大きく後れを取っている。
フィリピン・アイランズ銀行のエコノミストは、13年のFDIはタイが330億ドル、インドネシアが220億ドルだったことを挙げたうえで「フィリピンは脆弱(ぜいじゃく)なインフラや電気料金の高さにより投資家に敬遠されている」と指摘した。フィリピン政府は今後、雇用創出効果が大きいFDIの誘致を加速するためにも公共事業などの経済政策で積極的な取り組みが求められている。(シンガポール支局)