大規模経営で生乳市場の主導権を握るオーストラリアの乳牛【拡大】
TPP交渉の例外品目
インドや中国など新興国の発言力が増しており、以前のようにすべての交渉参加国が一定の合意を得ることは難しい。ドーハ・ラウンドの決裂を受け、世界の貿易交渉は北米や欧州など地域間で行うのが主流になっている。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉もそのひとつだ。
このTPP交渉で日本は、バターなど乳製品をコメや小麦とともに関税撤廃の例外5品目に挙げている。関税を撤廃してバターの輸入を自由化すれば安い外国産が入って市場が活性化するとの見方がある一方で、慎重論も根強い。
ひとつはバターを取り巻く国際環境だ。バターの国際価格は2008年に1トンあたり約3500ドルだったが、2014年3月には約4700ドルに高騰し、同年10月には再び約2500ドルに下落した。バター輸入を担当する農畜産業振興機構・畜産需給部の石橋隆部長は「ここ数年、トンあたり6000ドルから2500ドルの間で乱高下を繰り返している」という。