1987年にコーヒーの担当となり、その頃に出会った「モカマタリ」というイエメン産のコーヒー豆。フルーティーな香りに高橋氏は「恋にも似た高揚感」を覚え、入れ込んだ。だが、その後は「近代化で豆の精選加工法が変わってしまったためか、同じモカマタリに会うことがなかった」という。プロジェクトチームは、この「追憶のモカマタリの香り」の再現に挑む。
チームはこれまでの研究から、モカマタリの香りの秘密は豆の加工に発酵技術を使うことにあるのではと見当をつけていた。早速、約300種類あるとされる酵母の選定にとりかかった。
グループで発酵技術を得意とする担当者の協力を得て、手始めにサントリーグループが保有するビール酵母で試してみると、ビールのような香りになった。ウイスキー、日本酒、乳酸菌と数多くの酵母を試すうちにワイン系統に絞り込む。そのなかで、最終的に「一番香りだちがいい」と感じたシャンパン酵母を選んだ。