原位置浄化技術による土壌汚染対策工事の様子【拡大】
掘削除去は、汚染土の運搬先で2次汚染を引き起こす可能性があるほか、運搬費用も高くつく。原位置浄化にはそうしたデメリットが少ない。西村実社長は「営業中や、建物を残したままでの浄化にも対応できる」と優位性を強調する。
日本の土壌汚染浄化ビジネスは、2003年に土壌汚染対策法が施行され、土地所有者に土壌調査や汚染対策が義務づけられたのを機に生まれた。
日本総合研究所で土壌浄化の市場調査を行っていた西村社長は、同年に会社を設立して市場参入した。原位置浄化を選んだのは、当時すでに土壌汚染浄化の先進国である米国が掘削除去から原位置浄化へシフトしつつあり、日本もやがて同じ道をたどると予測したためという。
信用力のないベンチャーということもあり、初の案件を獲得するのに約1年かかったが、その後は実績を積み重ね、今年3月までに累計450件以上の案件を獲得した。当初は米国企業から導入していた技術は、ライセンス契約が切れてから独自技術に切り替え、案件をこなすごとに技術力を磨いてきた。
03年ごろに1500~1600社あった国内市場への参入企業は600社程度まで減り、その多くは掘削除去を手がける。一方、原位置浄化は件数ベースで約4割を占めるとされる。この技術をこなせる企業は同社以外に、大成建設や栗田工業、同和エコシステムなどわずかしかいない。