インドの高速鉄道への採用を競う日本の東海道新幹線の車両「N700系」(下、JR東海提供)、と中国版新幹線の「和諧号」(新華社=共同)【拡大】
その理由は(1)中国の高速鉄道技術は日本に劣っておらず、走行距離と規模、技術や信頼性の面からも遜色ない(2)中国の高速鉄道は材料や人件費のコストが低いため価格が安く、受け入れ側にとって負担が少ない(3)地理や気候などが複雑に異なる広大な土地の中国内で、高速鉄道の建設と運営に成功しており、技術の成熟度と安全性を世界に示している-というものだ。
安全性には疑問符
もっとも、中国の高速鉄道といえば11年7月に浙江省温州市で起きた衝突・脱線事故の記憶が今も生々しい。死者40人、負傷者192人とされる甚大な被害を出すとともに、生存者の捜索を早々と打ち切って事故車両をすぐさま高架下に埋めた中国当局の対応に、国外はもちろん中国内からも非難の声が上がる事態を招いた。それだけに「技術の成熟度と安全性」のアピールには大いに疑問符がつく。
ただ、価格が安いのは紛れもない事実。性能面では日本の新幹線が優位とみられるが、中国の高速鉄道は建設コストが新幹線の半分から3分の1で済むとされる。さらに中国は物々交換の離れ業も繰り出している。タイとの間で13年10月に調印した高速鉄道の覚書では、タイのコメを建設費の支払いに充てることを盛り込んだのだ。