技術移転や教育で協力を
では、日本はどうすればインドの高速鉄道プロジェクトを受注できるのか。JR東日本の冨田社長が言うように、東海道新幹線の開業以来、半世紀の間に培ってきたノウハウや安全性の実績をアピールして、その重要性をインド側に理解してもらう努力がまず欠かせない。
さらに車両製造などの技術移転についても、守るべき根幹的な部分は別にしながら、インド側の要望に可能なかぎり応じて供与するという決断も迫られるだろう。インドの鉄道は事故や遅延が頻発することでも知られており、運行に携わる鉄道職員の教育への全面的な協力も惜しんではならない。
東南アジアではインドネシアやシンガポール-マレーシア間でも高速鉄道が計画され、米国やロシアなど先進国でもプロジェクトが控えるなど高速鉄道は巨大市場化しつつある。日本企業、ひいては日本経済の復活に貢献が期待できる分野といっていい。世界の高速鉄道プロジェクトを本気で獲得するには、政府が政策的な対応をさらに強化することも必要となる。