日本郵政グループ3社が4日に東京証券取引所に株式を同時上場するのが追い風となり、証券会社が新規の口座開設数を伸ばしている。増加ペースが普段の倍という証券会社も少なくない。各社は株式投資の経験がない個人を一挙に獲得する好機とみている。
「営業店は大変忙しい。新規の口座(開設数)は、通常の倍だ」。野村証券を傘下に持つ野村ホールディングスの柏木茂介最高財務責任者(CFO)はこう語る。野村に限らず、各社とも口座開設数は最近、大幅な増加に沸いている。
SMBC日興証券では郵政3社の上場が承認された9月10日以降、4~6月の平均と比べてほぼ倍増した。岡三証券グループ傘下の岡三証券も、9~10月は通常の倍程度となった。三菱UFJモルガン・スタンレー証券は4~9月に前年同期と比べて2・8倍に急増し、みずほ証券も「通常の2~3倍のペース」(小林英文常務)と活況だ。
郵政3社の株式を取り扱う60社余りの証券会社は、新規株式公開としては異例ともいえるテレビCMなどの広告を大がかりに展開。国内売り出し分の95%を占める個人投資家に向け、3社の上場をアピールした。
口座開設数が大きく増え、顧客の裾野が着実に広がりつつある中、株式を売買する際の手数料で知恵を絞る証券会社も出てきた。
カブドットコム証券は郵政3社の上場日にあたる4日から、顧客が支払う売買手数料を最大約54%引き下げる。売買の成立金額が50万円以下の取引が対象で、増加が見込める個人投資家の取引を取り込むのが狙いだ。同社の斎藤正勝社長は「株式投資はおもしろいという成功体験を持ってもらうことが重要」と語る。
8月以降は各社とも、世界的な株価急落の影響で取引が低迷した。それだけに郵政3社の上場が「下期の(業績拡大の)起爆剤になれば」(岡三証券グループの村井博幸取締役)といった期待は大きいようだ。