『流』東山彰良著(講談社・1600円+税)【拡大】
混沌(こんとん)と猥雑(わいざつ)に満ちた台湾の風土を背景に、自分の未来が分からぬまま、フラフラと生きる秋生の青春が、濃密な筆致で描かれていく。苦悩も怒りも、振り返ってみれば、輝いている。そんな青春が、ここに屹立(きつりつ)しているのだ。
なお作者は台湾生まれで、5歳まで台北で暮らしていたという。また、あるインタビューで「主人公のモデルは僕の父です」ともいっている。なるほど、だから本書は、こんなにも読み応えがあるのか。自らの血と想いを滾(たぎ)らせたような熱気が、物語から伝わってくるのである。(講談社・1600円+税)
評・細谷正充(文芸評論家)