『悪魔の羽根』ミネット・ウォルターズ著、成川裕子訳(創元推理文庫・1340円+税)【拡大】
■逃げ場のない混沌の世界で
高度に情報網が発達し、世界と容易につながるようになった一方で、各地で起こる紛争や暴力がすぐ隣に忍び込んでくる恐怖に人々は直面している。英国の伝統的な謎解き物語のスタイルにのっとりながら、時事的・社会的な問題を織り込んだ作品を書き続ける現代ミステリーの女王、ミネット・ウォルターズの『悪魔の羽根』はそうした世界の現実に対峙(たいじ)する小説だ。
2002年、内戦終結直後の西アフリカ・シエラレオネで5人の女性がレイプされた上、殺害されるという事件が起こる。容疑者として元少年兵3人が捕まるが、記者のコニーはハーウッドと名乗る英国人男性を疑う。しかし犯行を立証する証拠はなかった。
2年後、米国統治下のバグダッドに赴いたコニーは、そこでハーウッドと再会する。本名はマッケンジーというらしい、この男の正体を暴くべく行動を起こすコニーだったが、何者かに拉致監禁されてしまう。幸い3日後に解放されたものの、コニーは監禁中のことをほとんど語らない。そして彼女は英国ドーセット州の小さな田舎町にある古屋敷に引きこもってしまう。