【書評】『流(りゅう)』東山彰良著 (1/2ページ)

2015.7.5 13:15

『流』東山彰良著(講談社・1600円+税)

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 ■濃密な筆致で描く青春小説

 国民党の総統・蒋介石が死去した、1975年の台湾。かつて国民党に加担し、共産主義者を相手に暴れていたものの、敗走した台湾で暮らしていた葉尊麟が、自分の店で殺された。発見したのは、孫の葉秋生だ。台北の高等中学に通う17歳の秋生は、以後、無軌道な青春を重ねながら、思い出したように祖父の死の真相を追っていく。

 本書の作者は、第1回「このミステリーがすごい!」大賞銀賞と読者賞を受賞した『逃亡作法 TURD ON THE RUN』でデビューした東山彰良である。それを知った上で粗筋を見れば、この物語がミステリー小説だと、当然のごとく思ってしまうことだろう。事実、最終的には犯人が明らかになり、それに伴い、意外な事実も暴かれる。その他にも、ミステリーの手法が使われているところがあれば、ノワール的な展開も繰り広げられる。ミステリー作家としての手腕は、十全に発揮されているのだ。

 それでも私は本書を、ミステリーというよりは、青春小説として楽しんだ。主人公の葉秋生は、幼馴染の悪友・趙戦雄が持ちかけた替え玉受験の話に乗ったものの、これがばれて底辺校に編入。けんか騒ぎに巻き込まれたり、幽霊に付きまとわれたりする。一念発起した大学受験には失敗し、陸軍官校に行ったものの、すぐに逃げ出す。さらに戦雄によって新たな騒動にかかわる。初めて恋人ができたものの、軍魂部隊で2年を過ごした間に、ある事情から破局を迎える…。

「主人公のモデルは僕の父です」

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