「国土が日本人の謎を解く」【拡大】
■圧倒的な説得力の日本人論
現代人はとかく、グローバルだの改革だのイノベーションだのが大好きだ。夥(おびただ)しい数のビジネスマンや官僚や政治家達(たち)が、日々の会議や居酒屋の中で、勇ましくそんな言葉を吐きまくっている。
しかし彼らは結局、情けなき滑稽な愚か者達だ。自分たちが「日本人」であるという事実を忘れているからだ。彼を知り己を知れば百戦殆(あや)うからず-己を知らぬままに繰り出されるあらゆる提案や戦略は早晩、敗北と自滅に向かう他ない。そんな当たり前の常識を彼らは見失っている。
もちろん「日本人論」は百花繚乱(ひゃっかりょうらん)。しかし思想家・大石久和氏の日本人論には他の追随を許さぬ圧倒的な「説得力」がある。彼の日本人論は全て、我々(われわれ)の住処(すみか)である「国土」をその出発点に置いているからだ。
彼の論に比類するものとして和辻哲郎の「風土」論がある。しかし大石論は和辻論を、その深みにおいても広がりにおいても凌駕(りょうが)している。そもそも国家官僚であった大石が国土に働きかける実践に長年従事してきた中で深め続けた思想が、実践から隔離された哲学者のそれより迫真性高きものとなるのも当然だ。