『習近平の肖像』崔虎敏著、宇田川敬介訳(飛鳥新社・1111円+税)【拡大】
■世界が注目する指導者の素顔
「失脚した薄煕来に近い中国共産党中堅幹部が、習近平政権の恐怖政治を告発したがっている」と訳者から連絡を受けたのは昨年秋。著者の崔虎敏氏(仮名)は日本の国立大学大学院にも留学経験のある知日派でした。
改革開放が提起された1978年に中国の大学に入学、82年に卒業した世代は、李克強に代表される開明派「改革開放教育一期生」であり、著者もその一人です。
個人独裁色を強める指導者に、海外事情をよく知る彼らが反感を抱いている様子がうかがえたので、習主席の人物研究を依頼しました。生い立ちや性格上のコンプレックス、思想や家族関係、権力闘争と粛清を進める理由、身近で見た「等身大の姿」をまとめてもらったのです。
とはいえ体制批判が命にかかわるお国です。執筆者が特定されないよう、仲間の官僚、弁護士、香港のジャーナリストが手分けして書いたリポートを崔氏が集成、さらに日本と取引のあるビジネスマンの協力を得て、データを運んでもらう手続きが必要でした。