又吉直樹さん=16日、東京都文京区(撮影・蔵賢斗)【拡大】
「火花」で芥川賞に決まった又吉直樹さんは綾部祐二さんとお笑いコンビ「ピース」を組み、多数のレギュラー番組を抱える売れっ子芸人。人気絶頂にあるタレントの受賞は極めて異例だが、80年に及ぶ芥川賞の歴史をひもとくと、“本業”にとらわれずに作品本位で多彩な才能を発掘してきた歩みが浮かび上がる。
記憶に新しいのは平成20年。「乳と卵」で受賞した川上未映子さんの当時の肩書きは“文筆歌手”。すでに歌手デビューし、CDもリリースしていた異才だった。9年にはミュージシャンの辻仁成さん、12年にはロックミュージシャンや俳優として活躍していた町田康さんがそれぞれ受賞。音楽で培ったリズム感や詩的感性を生かして飛躍した作家は少なくない。古くは昭和52年に「エーゲ海に捧ぐ」で受賞した版画家の池田満寿夫さんの例もある。
ネタ作りでストーリー構成力を鍛えており、面白い会話も描ける。そんなお笑い芸人を書き手として評価する編集者は少なくなく、「爆笑問題」の太田光さんや劇団ひとりさんらも小説に挑んでいる。