うつ病は誰でも発症する可能性がある一方で、対応を誤ると致死的な経過をたどる怖さがあります。しかも、一般的な理解とは異なり、「明らかな自殺の兆候」というものはありません。
うつ病のときは衝動や不安を抑える力が弱くなっているので、突発的に自殺を選んでしまうリスクが高いのです。こうした事態を防ぐためにも、日頃から一人ひとりの業務量や立ち居振る舞いに気を配りましょう。
トヨタ自動車の有名な「カイゼン」の原点は「変だと思ったら、ラインを止める」という意識でした。私は職場のうつ病対策も同じことだと思います。些細な問題で生産ラインを止めることを恐れず、危機を未然に防止するチャンスとしてください。
▼電通事件(1991年)の教訓
×:帰宅してきちんと睡眠を取り、それで業務が終わらないのであれば翌朝早く出勤して行うように
○:仕事を分担する社員の確保など具体的な案まで提示する!
大野 裕(おおの・ゆたか)
認知行動療法研修開発センター理事長
1950年生まれ。慶應大医学部卒。同大教授、国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター長を経て現職。『最新版「うつ」を治す』ほか著書多数。
(認知行動療法研修開発センター理事長 大野 裕 構成=医療ジャーナリスト・井手ゆきえ 写真=iStock.com)(PRESIDENT Online)