「重さと時間と経過」を見ること
死別のような大きな体験でなくても、私たちは失恋や転勤、昇進などの小さな喪失を日常的に経験しています。うつ病の患者さんでなくても、気分が沈み込むことは日常的にあります。こうした軽い落ち込み、つまり「うつ状態」を、安易に「うつ病」と診断するべきではありません。
一般的には、気分の落ち込みなど典型的な症状が2~3週間続いたら「うつ病」を疑います。ただし、この2週間というのも根拠があってないようなもので、私がよくお話ししているのは「重さと時間と経過」を見ること。
たとえば、仕事上のミスで落ち込むことは誰でも経験しますね。それでも、数日経てばまた頑張ろうと思えてきます。しかし、徐々に抑うつ気分や眠れないなどの症状が悪化し、あるいは全く立ち直る気配がない場合は、医療機関を受診したほうがいいでしょう。
熱があっても、少しずつ下がっているなら様子見ですが、そこからさらに上がるようなら、病院の診療や薬が必要になる--「うつ病未満」と「うつ病」を見分けるのも同じことなのです。
「重さと時間と経過」に注意し、とにかく辛くて何もする気が起きない、仕事や家事、睡眠や食事といった基本的なことに支障が出ているなど、明らかに生活に悪い影響が生じている場合は、医療の手を借りたほうがいいでしょう。