20歳まで子供は“うつ”を言葉にできない 「うつ病」重さ別5つの対処法 (3/10ページ)

 ◆誰でもなる「うつ状態」は病気?

 1:やる気が出ないときどうするか

 日常的な軽い落ち込みから、うつ病と診断されるまでの症状は、地続きで変化しています。ですから「ここからがうつ病」と明確に一線を引くことはできません。たとえば、両親や親友と死別したときに、数カ月間落ち込むことは病気なのでしょうか?

 これまで「死別反応」については、眠れない、食べたくない、などうつ病の症状を示していたとしても、少なくとも「後を追いたい」など不穏な言動がない限り、当たり前のこととして周囲がそっと見守ってきました。

 精神科医のバイブルともいわれる米国の「精神障害の診断と統計マニュアル(DSM)」でも、これまで死別にともなう「うつ」については、例外的に病気と診断してはいけない、という除外基準がありました。ところが、2013年に改訂された最新版DSM-5では、死別反応を「うつ病」の範疇に入れ、2週間経っても改善の様子が見られないときは、うつ病と診断できるとし、医療の介入を認めたのです。これに関しては、世界中の精神科医から非難の声が相次いで、病気かどうかは最終的に精神科医が判断する必要があるという但し書きがつきました。

 もっとも、病気と診断されようがされまいが、身近な人と死別したときの人間の反応に変わりはありません。ひどく辛くて生活に支障が生じるようだと医学的な治療が役に立ちます。その一方で、回復のためには、時間とともに病的な気分や行動を少しずつ克服していく自分の力も大切です。

「重さと時間と経過」を見ること