【KEY BOOK】「科学の方法」(中谷宇吉郎著/岩波新書、798円)
中谷宇吉郎の門下生に樋口敬二さんがいた。中谷雪氷学の最大の継承者で、北大や名大で地球科学全般の研究をされ、退官後は名古屋の科学館の館長を長らく務められていた。ぼくはこの樋口さんに中谷学の真骨頂を教わった。それは『科学の方法』の集約でもあった。中谷が勧めるのは、第1に自分が気になる「謎」をもつこと、第2にその謎の範囲を広げすぎないこと、第3に或る現象と別の現象のあいだに関係を発見しようとすること、第4にその関係を図示しようとしてみること、第5に研究範囲とはべつに科学する心をうんと広くもつこと、だ。樋口さんは、このことを「暗号を読み解くための字引をつくるのが、中谷宇吉郎の科学の方法だった」と言ってくれた。