失ったもの取り戻す
まず、「ソ連崩壊は20世紀最大の地政学的悲劇だった」という言葉だ。ソ連再興にかけるプーチン氏の決意を示すと考えられているが、ソ連崩壊に伴い、2000万人とされるロシア系住民がロシア国境の外に取り残されたことを念頭に置いてもいた。
ウクライナ南部クリミア自治共和国を念頭に、「ロシア系住民の保護」という“大義”を掲げて介入姿勢を強めるプーチン氏には、ソ連崩壊で失ったものを取り戻す意志がうかがえる。
もともとクリミア半島の住民は約6割がロシア系だが、ソ連時代の1954年に帰属がロシア共和国からウクライナ共和国に替わった経緯がある。ソ連崩壊による91年のウクライナ独立後には、地元ではロシア復帰を望む声もあったが、ロシアのエリツィン政権は、ともにキエフ大公国を祖とする「東スラブの兄弟国への友情の証し」として、黒海艦隊の駐留継続を条件に半島をウクライナ領と認めた。プーチン氏にとっては、そのウクライナが欧州連合側に付くことは、友情をあだで返す行為にしか見えないのである。