19世紀になるとそれをジオラマやレンズを使って立体化する趣向が流行して、それらをまとめて「スペクタクル」と名付けるようになった。他方、そのころは劇場照明の工夫もあれこれ始まっていたので、そういうスペクタクルを小ぶりな「箱」に入れ、照明のもとにこれを見せるマイクロスペクタクルが次々にあらわれ、やがてそれを「本」がとりこむようになったのである。
実は日本にも桃山時代から「起こし絵」というものがあった。茶室などの立体図を四方の壁や障子を小さな紙に描いてこれを立ち折って見られるようにしたものだ。
ポップアップブックは「手の中に入るスペクタクル」なのである。19世紀にはローター・メッケンドルファーという名人も出た。いまはスマホやタブレットの中になんでも入るようになってしまったが、いま一度、手のこんだブックウェアこそが少年の日のどきどきを再現してほしい。