【KEY BOOK】「善の研究」(西田幾多郎著/岩波文庫、907円)
ここで「善」と呼ばれているのは、善意のことではない。われわれが体験してきたことのすべてをあてはめても、なお純粋になれるような究極の気持ちのことをさす。「善」はそのような純度の高いものだとみなされたのだ。しかしのちに、西田は「善」を「本来の自己意識」というふうに読み替えて、そこには純粋よりも矛盾が跳梁していてもよかったのだと思うようになった。ちなみに西田は、この代表作を書く直前に次女と五女を亡くしていた。
【KEY BOOK】「西田幾多郎哲学論集」I・II・III(西田幾多郎著/岩波文庫、929円・972円、在庫なし)
このうち「働くものから見るものへ」「場所」「無の自覚的限定」の3本を、なんとか読んでほしい。西田が「無の禅学」を導きの糸として「主客未分の自己」に向かっていくプロセスが見えてくると思う。とくに自己と無とのあいだに「場所」があらわれるところが肝心だ。IIIに「絶対矛盾的自己同一」が収録されている。ここには「逆対応」という用語も使われていて、自己を「無」や「矛盾」という逆のほうから掴まえてしまうというコツが暗示される。