【KEY BOOK】「西田幾多郎」III(中村雄二郎著/岩波現代文庫、1080円・1188円、在庫なし)
西田哲学は長らく宗教体験や宗教哲学と結びつけて解説されてきた。むろん西田自身にそのような色彩があるのだが、そのぶん「古めかしい」という印象をもたれてきたことも否めない。本書はそこを現代思想のさまざまなアクシスに照らして、初めて西田哲学をポストモダンな地平に持ち出した。著者は西田の提案する哲学用語を「問題群」という括(くく)りでとらえ、その問題それぞれに現代哲学用語をからませていったのだ。画期的だった。(編集工学研究所所長・イシス編集学校校長 松岡正剛/SANKEI EXPRESS)
■まつおか・せいごう 編集工学研究所所長・イシス編集学校校長。80年代、編集工学を提唱。以降、情報文化と情報技術をつなぐ研究開発プロジェクトをリードする一方、日本文化研究の第一人者として私塾を多数開催。おもな著書に『松岡正剛千夜千冊(全7巻)』ほか多数。「松岡正剛千夜千冊」(http://1000ya.isis.ne.jp/)