予断許さぬ東部2州
今回の選挙戦について、リビウ国立大のロマニュク教授(政治学)は「決選投票までもつれ込めば国の危機が深まるだけだ。有権者はそんな意識から勝てそうな候補に票を集中させた」と見る。有力候補と目されていた第二与党「ウダル」のビタリ・クリチコ党首(42)が大統領選と同時に行われたキエフ市長選に転じ(当選確実)、ポロシェンコ氏支持にまわったことも大きかった。
2004年の「オレンジ革命」を主導した親欧米派、ティモシェンコ元首相は過激な言動を警戒されるなどして伸び悩んだ。これに対し、ポロシェンコ氏は東部情勢の正常化やロシアとの対話に向けたバランス感覚を期待されている。
ただ、ポロシェンコ氏が東部のドネツク、ルガンスク両州の混乱を収拾できるかは全くの未知数だ。今回の選挙では親露的な東部を地盤とする候補が逆風にさらされて振るわず、それだけ東部2州の親露分離主義勢力が異質なものとして浮き上がった。この勢力はいっそう過激化する兆候を見せており、2州の動向は予断を許さない。