目立つのは年老いた人たちだ。この仮設住宅には当初530人超が暮らしていたが、今では約300人に減った。ただ、空き家は最大約245戸のうち20軒ほどと目立たない。若い世帯が引っ越し、高齢者の独居が増えたからだという。
一家全員で暮らしていた高齢者が、故郷に帰る望みをつなぎたいと1人で残ったケースが少なくない。60代の女性は「一丸だったように見えた家族も結局、場所が変われば人も変わる。老いたのに、子に従えない」と肩を落とした。
環境省によると、浪江町の除染完了率(宅地)はわずか3%。震災から3年半を迎えても、帰還のめどは立たない。この仮設住宅の自治会長を3月まで務めた本田昇さん(62)も、もどかしい日々を過ごす。
震災前の2010年末に妻(57)の実家がある浪江町に越してきた。高齢の義母(87)のため、バリアフリーの自宅を実家近くに建てた矢先に、震災に襲われた。津波で新居は跡形もなくなり、近くに住む親類も全員失った。