移転事業を所管するのは国土交通省。岩手、宮城、福島の3県で被災した地域住民らに高台への集団移転を促す費用として11年度以降、約4410億円を投じた。
しかし検査院によると、13年度末に宅地の造成工事が完了する予定だった55事業のうち、実際に終えたのは13事業のみ。作業遅れの影響で移転する考えを変えた被災者も多く、分譲や貸し付けの希望があった区画は当初の約1万4000から約1万に減少した。整備予定の342団地のうち、希望区画数が減ったのは192団地に上り、検査院は「国交省は、事業規模見直しも含め市町村に助言すべきだ」と指摘した。
一方、放射性セシウム濃度が1キログラム当たり8000ベクレルを超える焼却灰などの「指定廃棄物」の保管状況について、検査院は、環境省や、国交省と委託契約を結んだ自治体や事務組合などの事業主体を調査した。