【KEY BOOK】「アフリカ 苦悩する大陸」(ロバート・ゲスト著、伊藤真訳/東洋経済新報社、2376円、在庫なし)
原題は「足枷(あしかせ)をはめられた大陸」というものだ。怖いタイトルだ。ジャーナリストである著者は、エチオピア遊牧民、コンゴのゲリラ、盗賊に近い警官、ジンバブエの娼婦、マリのトラック運転手などの赤裸々な実態を通して、アフリカの民族紛争、独裁政治の元凶、蔓延する汚職、エイズ拡散などの軋みを炙り出している。とくに援助と投資がアフリカをいかに歪ませているか、その矛盾と欲望がぐちゃぐちゃにまじりあった現実を描写した。いまアフリカには世界最先端のハイテク技術が次から次へと導入されている。中国の札束外交も有名だ。しかし著者はそれらの投資と技術導入とがむしろ貧困を助長させていることを告発した。(編集工学研究所所長・イシス編集学校校長 松岡正剛/SANKEI EXPRESS)
■まつおか・せいごう 編集工学研究所所長・イシス編集学校校長。80年代、編集工学を提唱。以降、情報文化と情報技術をつなぐ研究開発プロジェクトをリードする一方、日本文化研究の第一人者として私塾を多数開催。おもな著書に『松岡正剛千夜千冊(全7巻)』ほか多数。「松岡正剛千夜千冊」(http://1000ya.isis.ne.jp/)