【BOOKWARE】
七福神は「恵比寿・大黒・毘沙門天・福禄寿・寿老人・布袋・弁才天」だ。いまはみんながそう思っているし、実際にも各地の七福神めぐりをすると、この七体七神がにこやかに迎えてくれる。まとめて「福神」という。
しかし、日本の福神信仰はもともとは恵比寿と大黒天が先行して、そこに弁才天と毘沙門天が加わり、そのあとしばらく吉祥天や虚空蔵が出入りしながら、江戸時代半ばにいまの七福神に定着した。しかもこの七神は恵比寿以外はすべてインドや中国からの外来神なのである。
大黒さんはヒンドゥー教のマハーカーラという憤怒神、弁天さんもヒンドゥーの怖い河川神サラスパティー、福禄寿は中国の南極老人星で、毘沙門さまは仏教化した四天王のうちの多聞天の別名だ。故郷がみんな違っている。
それではエベッさんはどんな日本固有の神さまだったのか。十日戎で賑わう「商売繁盛、笹もってこい」のエベっさんの履歴書はどういうものだったのか。
エビス神の本体は古来の海神である。海の情報や収穫を司る。このエビスに日本神話のごく初期に登場して流されたヒルコが習合した。『古事記』には、イザナギとイザナミが生んだ最初の子がヒルコだったのだが、あまりに恵まれない姿だったので舟に乗せて海に流したとあって、ヒルコが流離神だったことが述べられている。