キーヤン作品ではしばしば使われ、象徴カラーともされる「ウルトラマリン」(ブルー)で彩られた蓮の花。60面の襖絵はほぼ1人で約1カ月で仕上げた=2014年10月8日、京都市東山区の青蓮院(田中幸美撮影)【拡大】
意外な縁で…
また、こんなエピソードもある。名古屋市西区で建築デザイン事務所を営む林祐介さん(37)が数年前、古民家を改造して居酒屋にする仕事を依頼された際、思い浮かべたのが青蓮院の襖絵だった。築数十年の古民家にはたくさんの襖があり、以前、青蓮院で見た「素晴らしいバランス感覚と色使い」の蓮の襖絵に「これだ」とひらめいた。
撮影した写真を元に、看板などを描く業者に依頼して襖絵を制作。そのときは「歴史あるお寺なので描いたのは故人だと思った。ちょうど風神雷神図屏風のように。まさか実在しているとは思いも寄らなかった」という。
その後、たまたま名古屋のテレビで居酒屋が紹介されたのをきっかけに、無断借用だった事実が発覚。「僕の無知で大変申し訳ないことをしてしまった」と襖絵の消去を申し出た。しかし、キーヤンの反応は意外だった。「そこまで気に入ってくれて非常にうれしい」。それを聞いた林さんはまた驚いた。「訴訟も覚悟していましたから」と振り返る。