ギリシャの失業率は25%を超え、若者は実に50%に達する。緊縮財政には政治的にも社会的にも耐えられないはずである。
幸い、ギリシャ以外の問題国国債は、グラフを見る限りこのところ安定している。ギリシャ問題を除けば、量的緩和政策でユーロ不安は解決の方向に向かうかもしれない。
経済的には、ギリシャ離脱が合理的のように見える。ギリシャはデフォルト宣言し、本来の自国通貨「ドラクマ」に回帰すれば、金融政策の自主権を取り戻し、通貨安政策に踏み切ることができる。それでも、高インフレは不可避だし、外部からの新規借り入れも途絶えかねないので、経済混乱は当面続くだろう。
他方、ドイツはギリシャのいないユーロでぽっくりと空く通貨のアイデンティティーをどう埋め合わすだろうか。ギリシャが去るも残るも、ユーロ圏は前途多難だ。(産経新聞特別記者・編集委員 田村秀男/SANKEI EXPRESS)