ジャズ発祥の街ニューオーリンズ。中心部のフレンチ・クオーターでは至る所で音楽が鳴り、街角を曲がるたびに違った音色が聞こえてくる=2015年3月16日、米ルイジアナ州ニューオーリンズ(川口良介撮影)【拡大】
シカゴから5年前にニューオーリンズに移り住んだ木戸裕子さん(35)は「さまざまな場所から人と文化が集まってきた土地柄か、ここではみんなが一つのファミリーのよう。全員で街を盛り上げるんだという意識が強いんです」と話す。多様な文化を受け入れる懐の深さを持ったこの街は、訪れる者を飽きさせることのない、多くの魅力にあふれている。
≪物資も文化も、ミシシッピ川が運んだ≫
出航の30分前、フレンチ・クオーターのへそにあたる「ジャクソン広場」の近くを歩いていると、カリオペと呼ばれる蒸気オルガンの音色が聞こえてくる。「ポー、ポッ、ポー」とどこか間抜けなかわいらしい音色で奏でられる「聖者の行進」などの演奏に、出航を待つ人も川辺を散歩中の人も足を止め、カメラを向けたりして楽しそうな表情を浮かべる。真っ赤な外輪が目を引く蒸気船「ナッチェス号」は汽笛を鳴らし、この日も出航した。