【牧野直子の健康ごはん】
「目に青葉 山ほととぎす はつがつお」。江戸時代に山口素堂(そどう)が詠んだ句で、初夏の様子を視覚から、聴覚から、そして味覚から訴えています。
当時、初がつおは珍重され、「女房子供を質に置いてでも食え」とまで言われたそうです。今が旬の初がつおは餌を求めて黒潮にのって九州南部から北上を始め、親潮とぶつかる三陸海岸沖まで上ってきます。その北上により、各地で水揚げされるカツオのことをその年初めてのカツオという意味で「初がつお」と呼んでいます。その後、カツオは南下し、産卵のために再び太平洋へと戻っていき、その時に水揚げされるカツオを「戻りがつお」と呼んでいます。
初がつおは戻りがつおと比べて、脂身が少なくさっぱりとしていて、身もより赤いのが特徴です。エネルギーは戻りがつおの3分の2程度で鶏ささみと同じくらいの低脂肪、高タンパクの食材です。
赤身なので鉄も多く、貧血が気になる人にもおすすめです。タンパク質の代謝を円滑にしたり、肝臓に脂肪をつきにくくするビタミンB6が多く含まれるので、成長期の子供からお酒をたしなむ大人まで幅広い層の健康維持・増進にとりいれてもらいたい魚といえます。