原典の魅力が一番入った台本
今回はノルウェー語の原典からの新訳。「イプセンの魅力が一番入った台本になった」と演出で新国立劇場の演劇芸術監督の宮田慶子は言う。
宮田が芸術監督就任後に始めたこのシリーズでは、日本の近代演劇が、明治維新後の初期に影響を受けた作品を取り上げ、「これまでどのような作業をしてきたのかを見直し、今後どうしたら世界と肩を並べていけるかを考えていく」狙いがあると宮田は話す。
日本の演劇界は400年あまりの鎖国の時代、海外作品が一切、入ってこない中で能や狂言、歌舞伎など様式美を中心とする独自の発展をした。明治維新後にイプセンをはじめとする、セットや衣装を日常的なものに近づけ、人間の内面を舞台に表現しようとした「リアリズム演劇」が一気に日本に紹介される。
最も衝撃を与えたとされるのが島村抱月訳、松井須磨子が主演のノラを演じた「人形の家」(1911年)だった。島村と松井は「海の夫人」も1914年に上演、松井がエリーダ役で主演した。