6月24日、米首都ワシントンの米国務省で行われた「米中戦略・経済対話」の閉幕式に臨む中国の汪洋副首相(左)とジョン・ケリー米国務長官=2015年(ゲッティ=共同)【拡大】
習氏の訪米を控える中国側と、国賓として迎える米側の双方が首脳会談の失敗は許されないとの思いを共有し、軟着陸を望む思惑が一致した。米政府が発表した資料によると、2日間の対話による成果は人的交流や野生動物の密猟対策、海洋保護など幅広い分野の127項目。投資協定交渉の加速や、国際金融システムに関する協力強化でも合意した。
南シナ海、サイバー問題
だが安全保障分野の溝は深い。米国は、中国による南シナ海での岩礁埋め立てや滑走路建設を通じた「軍事拠点化」がアジア太平洋地域の緊張を高めていると問題視。ケリー氏が5月に訪中して習氏に懸念をぶつけるなどして繰り返し埋め立てなどの停止を迫った。だが成果はほとんどなく、中国が着々と進める工事を前に無力感が漂う。
中国政府のサイバー攻撃関与を疑う米国に対し、中国は自国も被害者だと主張し、議論はかみ合わない。オバマ氏が楊氏らと会って直接懸念を示したのは、こうした焦燥感からだ。