【KEY BOOK】「声の文化と文字の文化」(ウォルター・オング著、桜井直文ほか訳/藤原書店、4428円)
われわれの文明文化は「話し言葉」と「書き言葉」を使い分けてきた。いいかえれば「声」と「文字」とを両刀使いした。フランスではこれをパロルとラングという。なぜこんなふうになったのか。オングがこの最も重大な謎に挑戦した。マクルーハンの『グーテンベルクの銀河系』、アンドレ・ルロワ・グーランの『身ぶりと言葉』とともに、言葉と文字を学びたい者が読むべき絶対必須の3冊のうちの1冊だ。
【KEY BOOK】「文字の美・文字の力」(杉浦康平著/誠文堂新光社、3024円)
杉浦さんは早くから、文字文化が生活様式・デザイン表現・意匠の工夫・祭祀と伝承などにもたらしてきた密接な相互関係を凝視し、調査し、研究してきた。ダントツだった。その一端は「写研」の文字カレンダーや「銀花」などで発表されてきた。本書はそれらのなかで東アジアの文字意匠を選りすぐって構成したもの。ちなみに杉浦さんはつねづね「文字には神仏がいて精霊が出入りし、血液も樹液も流れているんだよ」と言っていた。