リリィ(大和)はかつて父と一緒に日本に滞在していた設定。戦災で父を亡くし、ジャングルで加東(花緑)と出会う。日本の敵国だったオランダ側から見た戦争がリリィの視点で語られていく。
どんな戦争でも犠牲になるのは兵士であり一般市民であり、敵も味方もない。「何のために戦うのか、誰か謝ってくれるのか、責任を取ってくれるのか」というリリィのせりふは、現代にも通じる。「一番核心をついている部分が、私が出ることで見えるはず」と大和は言う。
作品に一貫して流れるのは、極限の状況下でエンターテインメントが与える力だ。宝塚歌劇団出身の大和は、1995年1月の阪神大震災直後の初舞台を、花緑は2011年3月の東日本大震災の直後に行った高座をそれぞれ思い出す。
「『元気をもらった』とすごく喜ばれて。エンターテインメントは一番あとに回されがちだけれど、心の糧、救いになる絶対に必要なもの。戦地もきっと一緒だったと思う」と大和。深くうなずく花緑は「寝る、食べると同じくらい大切なんだ」と引き取った。(文:藤沢志穂子/撮影:小野淳一/SANKEI EXPRESS)