最近の清水理論は〈いのち〉がキーワードになっている。モノとしての生物的生命だけではなく、地球や人間が「生きている」というコトをあらわすために選ばれた表現だ。この〈いのち〉という現象は、自分で創り出したものと場所が引き受けたものとの二重の関係の上に成り立っていて、そこにはたえず複合的な鍵と鍵穴の共生的循環がおこっている。
とくに清水さんが重視しているのは、モノとコトが時を得て互いに響きあう「相互誘導合致」や、先に与えた試みがあとから贈られてくる成果と混じっていく「与贈関係」という現象だ。ちょっと難しそうな熟語だが、いったんこの見方が掴めるとさまざまな難問に灯火がともる。それは、この見方には「コペルニクスの鏡」がはたらいていてくれるからだと、清水さんは言う。
いま、グローバル社会は利益追求に走り、日本では少子化と高齢化がおこっている。清水さんは、そこに互いが互いを誘導しあい、まずは与え、それから贈られるものにめぐりあえる社会をつくりたいのである。