【KEY BOOK】「戦中派復興日記」(山田風太郎著/小学館文庫、788円)
昭和26年と翌年の日記。風太郎は29歳。あいかわらず読書力はべらぼうだが、推理系がふえている。時に天皇にふれて、現天皇には「悪」がない、『白痴』のムイシュキンに似ているなどと大胆なことも書いている。乱歩の名状しがたい魅力にも憧れていた。それは文才からくるものではなく、人間的奇妙性からくると見抜いていた。しかし風太郎こそが“純粋奇人”だった。(編集工学研究所所長・イシス編集学校校長 松岡正剛/SANKEI EXPRESS)
■まつおか・せいごう 編集工学研究所所長・イシス編集学校校長。工作舎のなかではいろいろな作家が流行った。山田風太郎もその一人だった。「千夜千冊」第303夜の尾佐竹猛著『下等百科辞典』、第929夜の村山知義著『忍びの者』、第989夜の半村良『産霊山秘録』でも少しだけふれている。
「松岡正剛千夜千冊」(http://1000ya.isis.ne.jp/)