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鶴見俊輔氏の教え 胸に刻む 渡辺武達 (4/4ページ)

2015.8.19 10:00

桑原武夫学芸賞の贈賞式でスピーチする鶴見俊輔氏=2011年7月、京都市内(共同)

桑原武夫学芸賞の贈賞式でスピーチする鶴見俊輔氏=2011年7月、京都市内(共同)【拡大】

  • 哲学者の鶴見俊輔氏から筆者(渡辺武達)に届いたはがき(本人提供)

 独特な日米へのスタンス

 さて、日本と米国に対するスタンスにも鶴見氏独特のものがある。それはいわゆるゴリゴリの旧左翼とも、戦後、急に態度変換した親米右翼ともまったく違う。戦争中の日本の権力層が「国体」とか「八紘一宇(はっこういちう)」という言葉を反論を許さない文脈のなかでつかっていたことを「お守りことば」として、「思想の科学」に論文で発表。それが評価され、京都大学助教授になった。その後、スタンフォード大学助教授として招聘(しょうへい)されたが、米国情報部が鶴見氏の独自思想を反米と判断し、入国ビザを出さなかった。以後、米国の良さを語ることはあっても、一切米国領土には足を踏み入れなかった。

 また、「穏やかなひとは大勢に順応するが悪人は体制の悪にも立ち向かえるから頼りになることがある」という鶴見氏の警句の深い意味や、自分よりも弱い立場のひとは決して批判しなかった鶴見氏の生活哲学を、その思想とともに心の中で反芻(はんすう)し、かけがえのない鶴見氏の教えとして、自らの社会に対する矜持(きょうじ)として持ち続けたい。合掌。(同志社大学名誉教授、メディア・情報学者 渡辺武達(わたなべ・たけさと)/SANKEI EXPRESS

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