展示は大きく分けて2種類。式年遷宮を担う神社の人々をコンセプトにしたモノクロの写真を、掛け軸に仕立てて、神服殿に調和するように室礼(しつら)えた。また、人々が立ち入れない玉座を生かし、四季折々の自然や祭りの写真を、井浦さんのナレーションとともに編集した映像作品をワイドスクリーンで放映する。光と影、静と動、コントラストが映えるユニークな構成だ。「カラー写真をモノクロで現像し、粒子をどんどん粗くすることで、その場の空気感が前面に現れてきました。写真の奥に眠る世界が見えてくるといいなと思って」。掛け軸は、人々の所作や場の空気に焦点をあて、目に見えない気配が漂う。「映像は、初めてセルフナレーションという手法に挑戦しました。見る人に親近感を持ってもらえるはず」。写真の選択も、自分を消して、場の空気に寄り添うように決めていったという。
下鴨神社の境内では初となる写真展。その歴史について深く知り、四季の変化を感じつつ、普遍の美と心に触れたい。(文:ライター 永峰美佳/撮影:俳優・クリエイター 井浦新(いうら・あらた)/SANKEI EXPRESS)