代表作の「ゆらぎ」シリーズの写真をアクリルボードにプリントして作ったゆらぎゲートで、ゆらぎの魅力を語る写真家の遠藤湖舟(こしゅう)さん=2015年7月29日、神奈川県横浜市西区の横浜高島屋(田中幸美撮影)【拡大】
「みなさんもオヤッと思うことがあったら、足を止めてちょっと見つめてみてください。そこに何か発見が出てくる。人生が楽しくなると思います」。そう語りかけながら指さす方向には、さまざまな色の絵の具を水面に垂らしたときに広がる抽象画のような写真が並ぶ。
これは写真家、遠藤湖舟(こしゅう)さん(60)が横浜の百貨店で開催している個展で行われたギャラリートークの一場面。遠藤さんの代表作は、さまざまな色彩を放つ木々や葉、花などの自然のみならず、建物や壁などの人工物が水面に映り、水とともにゆらぐ“一瞬の美”を切り取った写真作品「ゆらぎ」シリーズだ。
たとえば、桜を思わせるピンクの波紋が一面に広がった写真。遠藤さんによると枯れかかった赤いモミジが水面に映ったところを撮影したらピンクになったという。「撮ってビックリしました。こういう発見もある。撮れば撮るほどいろんな発見があります」という。
また、個展会場にはゆらぎシリーズの写真を縦1.8メートル、横90センチのアクリルボードにプリントして、それを3枚1組に仕立てたゲートを設置している。「このゆらぎに入っていただくとみなさん幸せになります。ゆらぎというのは自然のもので、人工の形でない自然の形はホッとさせる」と解説した。「ただ写真を見るだけでなく、みなさんに何かを体験してほしかったのです」とも。