代表作の「ゆらぎ」シリーズの写真をアクリルボードにプリントして作ったゆらぎゲートで、ゆらぎの魅力を語る写真家の遠藤湖舟(こしゅう)さん=2015年7月29日、神奈川県横浜市西区の横浜高島屋(田中幸美撮影)【拡大】
あてもなく上京し、家庭教師のアルバイトなどで生計を立てた。そんな遠藤さんが明確に写真を目指す決心をしたのは29歳のときだ。商業用写真を扱う写真スタジオで働き始め、ライティングなどの撮影技術を独学でマスター。いっさいを任せられるようになっていた。
そんなある日、日本画家の巨匠、川合玉堂(かわい・ぎょくどう)の作品約1500点を撮影するという大きな仕事の依頼を受ける。全国の美術館や旧家に残る作品を3年の歳月をかけて、丁寧に撮影。1983年のこの仕事が写真家としての第一歩となった。90年にはコマーシャルフォトやパンフレット撮影を手がけるグラフィックデザインの会社を設立。91年には日本コロムビアと共同で美術作品の画像をデータベース化する仕事も手がけた。
また、本業のかたわら再び天文写真を撮りたい衝動にかられ98年、富士山麓でのしし座流星群の撮影を皮切りに、仕事の合間を見つけては野辺山高原(長野県)や銚子海岸(千葉県)などに足を運んだ。2004年には、千葉県で撮影したブラッドフィールド彗星(すいせい)の写真をネット上で公開すると大きな話題となり、天文雑誌の表紙を飾るなどして、天文愛好家の間では知られた存在になった。