代表作の「ゆらぎ」シリーズの写真をアクリルボードにプリントして作ったゆらぎゲートで、ゆらぎの魅力を語る写真家の遠藤湖舟(こしゅう)さん=2015年7月29日、神奈川県横浜市西区の横浜高島屋(田中幸美撮影)【拡大】
さまざまなゆらぎの写真に触れた人たちからは、「見ているようで何にも見ていないことがわかった」という声が上がっていた。
≪自然の動き スカッと受け入れられる≫
「還暦からのメジャーデビュー」。自身もそう話すように遠藤湖舟(こしゅう)さんは遅咲きの写真家だ。
写真との出合いは中学時代。長野県大町市生まれで松本市で育ち、星が美しく見える環境にあったことなどから幼少時代より天体に興味を持った。中学時代に天体写真を撮り始め、天文雑誌に写真を投稿するほどの腕前に。
しかし、写真家の道を進むことはなく、幼いころから憧れていた化学者になりたいと都内の有名私大の理工学部に進学。卒業の際は、ヨーロッパを40日かけてバックパック旅行をして、旅の様子をモノクロフィルム36本に収めるなど、常に写真は傍らにあった。その後、地元の大手精密機器メーカーに就職したものの、たった1年半で退職。その理由を「こんなにきれいなのに、(仕事をしていて)夕暮れどきが見られないのは残念だったから」と振り返る。