しかし今、自分が目を向けるべきは、もっと足下のことなのではないかと、僕は考えている。言葉を尽くして説明する必要のない、手に取った瞬間、直に伝わる力のあるもの。洋の東西を問わず、通用する圧倒的にすばらしいものが、日本にはもっとあるのではないだろうか。それもごく当たり前に、身近なところにそうした価値あるものが見いだせるのではないかと思う。高知が教えてくれるのはそういうことだ。
言葉の少なかった野見の漁師は、後日スタッフのブログに「楽しい時間をありがとう」と、さっぱりとしたコメントを寄せてくれた。ジビエのようなカツオのたたきを通じて「感じて動く」さまを直接伝え、その感動をスマートフォンという電子機器を駆使した短い言葉で的確に補う。なんというコミュニケーション能力の高さだろう。恐れ入るほかない。
僕は今、高知にますます魅了されている。(企画プロデュース会社「丸若屋」代表 丸若裕俊/SANKEI EXPRESS)