【BOOKWARE】
「天下に忌諱(きい)多くして民いよいよ貧しく、民に利器多くして国家ますます昏(くら)し。人に伎巧多くして奇物ますます起こり、法令ますます彰(あら)われて盗賊多くあり」。
これは老子の時代だけのことではない。いまなお、この通りだ。国家も人民も法律も強くなろうとして万事が「やりすぎ」になり、それでどんどん台無しになっている。老子はそれよりも「弱さ」を大事にしなさいと言った。「弱さ」とは何か。あえてフラジャイルにあるということだ。
『老子』76に「堅強なるものは死の徒にして、柔弱なるものは生の徒なり」、また「強大なるは下にあり、柔弱なるは上にある」という一節がある。老子のフラジャイルな思想が面目躍如する一節だ。これをわかりやすくすると「柔よく剛を制す」ということになるのだが、この言葉を柔道の極意のような意味だけにとっては、老子の真骨頂はわからない。そうではなくて、できるだけ微妙なものや仄明なことに「柔」を持ち込み、堅固なるものからあえて「剛」を離してみなさい。老子は、そう言っているのだ。