【牧野直子の健康ごはん】
ナスは夏から秋が旬の食材の中でも、比較的安価です。また、「なす紺」と言われる紫色は他の食材にはなかなかないので、食卓の彩りに欠かせません。
「一富士二鷹三なすび」や「秋なすは嫁に食わすな」などの言い習わしがあるように、古くから庶民に親しまれています。原産はインドで、中国を経て日本に入ってきたそうで、奈良時代には栽培されていた記録があります。
皮の色は濃いですが、これはアントシアニンという色素でポリフェノールの一種で抗酸化作用があります。抗酸化作用とは、増え過ぎると体に害を与える活性酸素の働きを抑制する働きで、例えば血液中の脂質の酸化を防いで血中のコレステロール値を下げる働きがあり、動脈硬化や細胞の酸化を防ぎ、老化やがんの予防にも効果があるとされます。アントシアニンは水溶性なので煮物や汁物の場合は煮汁に溶け出るため、汁も残さず食べましょう。
また、水に溶け出ると、色が悪くなるので、炒める、揚げるなどして油脂でコーティングしてから料理すると、アントシアニンも流出しにくく、鮮やかな紫色に仕上がります。今回の料理は鶏肉から出る脂で、ナスを焼くことで、きれいな紫色に仕上がります。