9月16日、2022年アジア大会の開催地が中国・浙江省杭州市に決まり、握手を交わす(左から)中国の劉鵬・国家体育総局局長、アジア・オリンピック評議会(OCA)のシェイク・アハマド会長、杭州市の張鴻銘市長=2015年、トルクメニスタン・首都アシガバート(AP)【拡大】
実態と異なる世論調査
欧米主導の国際秩序に反発している中国としては、他の国や都市が腰を引く国際競技大会を請け負うことで、国際スポーツ界での発言力を強める狙いがうかがえる。
世論調査をすれば、9割以上の市民が開催に賛成という数字が示される中国だが、実態はどうも違うようだ。杭州が正式に22年大会招致に立候補する前の昨年7月、杭州市体育局が公式サイト上で発表した14年下半期工作計画の中に、「積極的に2023年アジア大会を招致する」との目標が盛り込まれた。
習近平指導部はサッカー強化に加え、スポーツ産業の拡大も掲げている。杭州市政府としては、中央政府の歓心を買う狙いのあったのだろう。
だが、10年広州大会で莫大な開催費用が投じられたことを知る市民からは、「労民傷財(人力と財力を無駄にする)」などと、アジア大会招致に反対する声が噴出。杭州市体育局は一時、「計画しているのではなく、内部での検討事項に過ぎない」と招致の打ち消しに躍起になった。