本格芋焼酎は、蒸したコメに麹付けして5日間発酵させ、「酒母」を作る。そこに、蒸したサツマイモと霧島が生み出すおいしい水(霧島裂罅水〈れっかすい〉)を加えて、今度は8日間発酵させ「もろみ」を作る。霧島酒造の原料割合は「コメ1」に対し「サツマイモ5」。この工場では、1日にコメ16トン、サツマイモ80トンを使用するそうだ。2回の仕込みをするから「2段仕込み」ともいい、2回目の仕込み原料が麦なら麦焼酎、ソバならそば焼酎になる。
十分熟成したもろみを、蒸気と攪拌(かくはん)させて一度蒸発させ、冷ましたものが焼酎の原酒だ。蒸留直後のアルコール度数は70度程度だが、貯蔵・熟成させる間に約37度に落ち着くという。
同じ工場で同じ日に造っても、全く同じ原酒にはならない。季節によっても原酒に違いが出る。だが、出荷する焼酎の味わいは、一定させなければならない。ここで卓越した技を発揮するのがブレンダーだ。「白霧島」のブレンドを担当している亀沢大規さんによると、4つある工場で貯蔵している原酒から選んだ2種類を9:1、8:2…と10%刻みで混ぜ合わせ、適当な配合割合を探し出す。これに、別のタンクの原酒をいくつか混ぜて、「甘み」「うまみ」「まるみ」が最もバランスよくなるよう仕上げていく。微妙な香りや味わいの違いを見逃さないため、ブレンダーは日頃から刺激物や辛(から)いものは一切、口にしないとか。