安倍晋三(しんぞう)首相(右)に、署名を渡す訪日団長で前フィリピン日系人会連合会会長のカルロス寺岡氏=2015年7月22日(日本財団提供)【拡大】
暮らしは戦争で一変。父親は軍人・軍属として日本軍に徴用され、一家は引き裂かれた。戦火から逃れるため山中をさまよううちに父親が日本人であることを証明する出生証明書などの資料を紛失したり、戦後に反日感情による差別を恐れ自ら焼き捨てたりして、自分が日本人であることを証明できず、今は無国籍状態となっている。十分な教育と就労の機会を得られなかったばかりか、自分の子供や孫が日本で働くといった日本人であれば享受できる権利も失い、貧困の中、フィリピン人のふりをして暮らしている残留2世は少なくない。
「国策」と「自由意志」
国策で中国東北部に渡った満蒙開拓団らの子供の「中国残留孤児」のケースでは戦後、支援のための法律が制定され、日本政府による身元調査や永住帰国支援などの救済が進んだ。一方、フィリピン残留2世については外務省によって実態調査が行われるにとどまり、支援は乏しかった。
訪日団長で前フィリピン日系人会連合会会長の寺岡カルロス氏はフィリピン残留2世を、日本政府から見捨てられた“棄民”と称していた。