大物海洋生物の撮影が多いが、小さな魚たちに目を向けることもある。特に興味を持っているのは、生命の誕生に関わる瞬間を切り取ることだ。昨年と今年、それぞれ6月に沖縄県の久米島を訪れた。
この時期、海水温も上がり始め、久米島では魚たちの求愛シーンや放精放卵(ほうせいほうらん)、雄の抱卵や、卵を守る姿が頻繁に見られるようになる。
サンゴ礁の浅いリーフに開いた小さな穴をよくみると、モンツキカエルウオなどの魚たちが、顔をのぞかせている。さらにじっくり観察すると、穴の内側には、沢山の小さな卵が産み付けられている。卵が孵化(ふか)するまで守るのは、多くの場合、雄の役割だという。
そのそばのイソギンチャクの中では、ペアのクマノミが産み付けた卵に、胸ビレをあおぐようにして、必死になって、新鮮な海水を送り込んでいる。
今回最も撮影したかったのは、魚たちの求愛と放精放卵の瞬間。ターゲットに選んだのは、紫色の体色が美しいハナゴイ、それにヘラルドコガネヤッコやヒレナガヤッコの放精放卵シーンだ。