弱った男の子を気に留めるでもなく淡々と話す彼女の様子から、私にとってのこの「非常事態」が、ここでは決して特別ではないということが分かった。とても悲しかった。
滞在中、その家に足を運ぶ度に、近所の人から次々と情報が加えられた。母親は離婚して子供たちと移り住んできたこと、例の男の子は栄養失調だが食べ物を買うお金がないこと、6歳の長男は経済的な理由から学校に行っていないこと、など。
教育、栄養不良、女性の立場の弱さ、児童労働、貧困、社会保障の脆弱(ぜいじゃく)性。これだけの課題が浮き彫りになった。静かな憤りを感じるとともに、「果たして自分が何かをすることで変わるだろうか」と途方に暮れた。
≪生きる希望 世界で等しく持てるよう手助け≫
育児休業する前、私は緊急人道支援と呼ばれる自然災害や人道危機にある子供たちを対象に支援活動を行っていた。緊急人道支援では、外部からの力を集約し迅速に事態を改善させるが、今携わっている開発援助という支援は、変化が遅々として見えにくい。人々の考え方や習慣が変わるのには時間がかかるためだ。